糖尿病予備軍とは

糖尿病の診断基準は、日本糖尿病学会が決めています。診断はその基準値に基づいており、数値が「糖尿病型」と決められた基準以下で「正常型」でもない場合に「予備軍」または「境界型」といわれています。

● 糖尿病診断基準 

以下の①〜③のいずれかが別の日に2回確認された場合「糖尿病」と診断する。

1回の検査でも、①〜③のいずれかと④または⑤あるいは⑥のいずれかが、同時に確認された場合も「糖尿病」と診断する。

     ①空腹時血糖:126mg/dL以上

     ②ブドウ糖75gを飲用後2時間の血糖値:200mg/dL以上

     ③随時血糖値:200mg/dL以上

     ④HbA1c(NGSP 新基準):6.5%以上

     [HbA1c(JDS 旧基準):6.1%以上]

     ⑤糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)

     ⑥確実な糖尿病性網膜症の存在

● 正常型の判定基準

次のいずれかの血糖値が確認された場合「正常型」とする。

   ・空腹時血糖:110mg/dL未満

   ・糖負荷後2時間値:140mg/dL未満

日本糖尿病学会では、「境界型を見出したときの取り扱い」の指針も、以下のように定めています。

1、境界型は、糖尿病に準ずる状態である。とくにIGT(耐糖能異常)は動脈硬化を促進する病態でもあるため、動脈硬化性疾患の合併の有無を評価する。

2、生活習慣の改善

 肥満の解消(現体重の5%減を目指す)、食事量の制限、脂肪摂取の制限、単純糖質の制限(とくに糖を含む清涼飲料水の制限)、食物繊維摂取の促進、間食への配慮、運動の奨励、飲酒習慣の是正、禁煙などの指導に努める。

3、耐糖能異常の経過観察

 生活習慣改善による耐糖能異常の正常化を糖負荷試験にて評価する。

4、高血圧および脂質代謝異常の改善

 高血圧、高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、および低HDLコレステロール血症の改善を評価し、生活習慣の改善で効果が得られない場合には、薬物療法を考慮する。高血圧治療薬[ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)など]には、糖尿病発症を抑制する効果が報告されている。

注:耐糖能とは、血糖値を正常に保つためのブドウ糖の処理能力のこと。
通常は、糖負荷試験で評価することが多い。

 糖尿病学会では境界型の鑑別基準も示しています。しかし、「なぜ、糖尿病になるのだろう?」の項で述べたように、糖尿病は一夜にしてなるものではなく、長い間の積み重ねなのです。

 つまり、血糖値が多少とも上向くということは、すでに体は糖尿病体質になっているということです。

 なぜなら私たちの体は、血液中の数値が常に一定に保たれるよう、様々な仕組みを働かせて最大限の努力をし、その範囲をついに逸脱してしまったときに異常値として表れるものだからです。

 体内の代謝機能で充分に対応でき、正常に働ける範囲であれば、数値には表れません。ですから、糖尿病境界型や糖尿病型にかかわらず、血糖値が正常を保てなくなったら「糖代謝異常」として認識し、改善を心がけるべきでしょう。

 

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