カロリーよりも大切な食事内容
病院で指導される糖尿病の食事療法は、これまでカロリー一辺倒でした。それは、ほかの項目で述べたように、過食や高脂肪食が糖尿病の大きな要因であるために、肥満との相関関係がみられるからです。
したがって、「まずは痩せましょう」というところから入ります。消費するエネルギーより摂取するエネルギーが少なければ、痩せます。
しかし、糖尿病の患者さんはおしなべて美食家で、食を我慢するのが難しいことと、我慢すればストレスが大きいことから、食事療法はかなり難しいのが実情です。
その点、高雄病院理事長の江部康二氏が提唱されている「糖質制限食」は、糖尿病の方にとって実践しやすく、一定の効果がみられています。
中医学や食養生の世界では、昔からカロリーよりも食事内容を論じ、病気の予防や治療を行ってきた歴史があります。
ですから、現代医学が食事療法をカロリーからその内容に着目したのは、画期的なことといえるでしょう。
ただ、現代医学にありがちなことですが、「糖質制限食」を導入している病院の中で、糖質排除を徹底的に指導するところもあります。そこでは人参も食べてはいけないといわれます。
またある病院では、タンパク質や脂質をしっかり摂るように指導され、食べきれないほどの鶏の唐揚げが出てきたという話も聞こえてきます。
確かに、摂りすぎた余剰の糖は脂肪として蓄積されますが、タンパク質はそうではないので、「タンパク質と脂質でお腹いっぱいにしなさい」ということかも知れませんが、そこには薬食同源という薬膳的な考え方や、生命エネルギー(氣)という考え方は感じられません。
糖質制限食は食文化としての歴史がなく、こうした食事を長年続けた場合に弊害はないのか、歴史を待たなくてはなりません。
4,000年以上の歴史をもつ中医学やアーユルベーダなどを参考にすると、どんな体質の人も一律に極端な偏りのある食事をするのは、短期間に留めるのが無難かも知れません。
江部康二医師の「糖質制限食十箇条」を見てみると、その人の緊急性と生活に合わせて、幅をもつことは充分可能だと思われます。
以下に、江部氏の提唱される「糖質制限食十箇条」を紹介します。
●糖質制限食十箇条 —糖尿病や肥満が気になる人に―
1、 魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
2、 糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
3、 主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
4、 飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
5、 糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
6、 オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
7、 マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
8、 お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
9、 間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
10、 できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
● 糖質制限食の3パターン
1、 スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお勧め。
2、 スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
3、 プチ糖質制限食は夕飯だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。
http://matome.naver.jp/odai/2134855811914282201
(NAVER:糖尿病の楽しい食事)
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